2002年の12月に出版された、現在のところ加藤あいさんの写真集としては最新かつ最後の本。この時点で彼女はまだ二十歳になったばかり。
「なんか、水着とか少なそう。」という印象もあって長い間手が出なかったのだが、見た後で「本当に買って良かった」と思った。というか、少しでも加藤あいという人に興味のある人なら是非手にとって欲しい。
彼女自身がこの本の中でコメントしている通り、「筆舌に尽くしがたいツライ経験をし、それがわたしを大きく変えてくれた」ことのドキュメントになっている。写真集としてはこれの前作となる『24人の加藤あい』が出た後の約1年3ヵ月の間にあった出来事が、彼女からそれまでのしなやかな獣のような鋭さを奪い、結果しばしの休業期間を経て復帰した彼女の佇まいは、あたかも悟りきった高僧か菩薩のような穏やかさと静けさをたたえていた。
この写真集の最後の方の、おそらくスッピンで雪の中寒そうにしている彼女の表情からは、自分の弱さや心許なさも含めてあるがままの自分をさらけ出す勇気や覚悟というものを感じる。この瞬間、彼女の存在自体が一つの「表現」になったのだと思う。
最後のページ、上を向いて目を閉じる彼女の横顔のカットの語るものの大きさは、文学だとしか言いようがない。
この人が生きている、女優として仕事をしているその姿にふれるだけで、「彼女が頑張ってるんだから自分も頑張ろう」という気持ちにさせられる。つらい経験と引き換えに彼女はそういう存在へと生まれ変わった。まるで、そう、ニュー・オーダーのように。
デビュー間もない頃から宮澤正明氏が撮りだめてきたあいちゃんの姿を20歳の記念にまとめ、出来上がった一冊。今日に至るあいちゃんの成長の記録が一目でわかり、ページをめくるごとにその時々のあいちゃんのシーン、そしてあいちゃんへの想いが文字通り走馬灯のように蘇ります。それにしてもあいちゃんが本冊中寄せているコメントは涙なくして読むことができませんでした。ファンとして、こんなに呑気にあいちゃんから元気をもらっていたことが申し訳なくさえ思えてきます。読み終わった後、心なしか憂いをたたえた幼い頃のあいちゃんの姿を直視することができませんでした。それでも今が最高に幸せと言うあいちゃんの懐の深さに改めて敬服するとともに、これからも精一杯応援していこうと決意も新たにしたのでした。あいちゃん、お誕生日おめでとう。そして、素敵な写真集をありがとうございました。